「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」
松尾芭蕉が
立石寺にて詠んだ句です。
さて、このセミとは
どんな種類のセミかご存知でしたでしょうか?
大正の末頃、
喧騒と静寂が主題である限り、
このセミは、
さわがしいアブラゼミがふさわしいと
主張しました。
しかし、出現期という
科学的見地から、
首を縦に振らない者もいました。
と言いますのも、
この句が詠まれた日付が
正確に分かる為です。
元禄2年5月27日、
太陽暦に直しますと、
1689年7月13日、
330年前の今の時期です。
斎藤茂吉は、
後に立石寺へと
足を運びました。
その時に
アブラゼミは、
十分に
出現期を迎えてはおらず、
繁殖を迎えていました。
後に、
茂吉は、
自説のアブラゼミ説を
修正したそうです。
今年は
昨年のあの暑さとは
打って変わって
冷夏ですが、
330年前に詠んだ
歌人に思いをはせ、
しみじみと
この句を
味わいたい
ものですね。