こころの休憩所『yu-nagaのブログ』

様々な角度からこころの健康について綴っています。

生涯最後の演奏会


あなたもきっとお読みになったことがおありでしょう。
宮沢賢治氏の書いた『セロ弾きのゴーシュ』(https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/470_15407.html)です。

音楽療法という呼称が採用されたのは1950年ですが、
宮沢賢治氏はそれよりずっと以前(1920年代)に音楽療法としての考えを
セロ弾きのゴーシュ』において表していました。

セロ(チェロ)は、人間の声域に最も近い楽器と言われ、
様々な癒し効果が認められています。

日野原重明先生がその著書の中で、N響のチェロの演奏家で癌でなくなられた
徳永さんのことを書いておられます。

亡くなる1ヶ月余り前のこと、
癌の末期で下半身がしびれていましたから、
チェロをおなかの上に抱えて寝たままで最後の演奏会をなさいました。

お弟子さんやら親しい友人を集めて行われた、このお別れの演奏会では、
皆聴きながら涙を拭おうともしませんでした。

日野原先生も、徳永さんのチェロの低音部が体の中に入ってくる感じに、
通常の演奏会では体験できない、この生涯最後の演奏会を
一生忘れることはできないと言っておられました。

わたしたちも最後まで人生の音色を奏でて生きていきたいものですね。